食事を変える。
カラダよろこぶ。
- 糖質と
カロリーの関係 - 糖質とは?
- 糖質の正しい
摂取量は? - WEB限定
コンテンツ
「脂肪を落とす=カロリー制限」と
思っていませんか?
外食時やコンビニでメニューを選ぶ際、「カロリーを抑えればOK!」と思っていませんか?確かに、カラダについた脂肪を落とすにはカロリーオーバーに気を付けることももちろん大切ですが、実は、カロリー摂取を控えても糖質オーバーになってしまうとカラダに脂肪がたまってしまいます。例えば下の2つのメニュー。同じ600kcalでも、右のメニューは一般的な女性の1食分の糖質目安量をオーバーしています。一方、左のメニューは糖質量を約半分に抑えながらも必要な栄養素はキープ。食べる量も減らしていないので満足度も◎です。
40代女性の1食の糖質目安量 約80g
各栄養素のスコアは、日本人の食事摂取基準(2015年版)における1日当たりの摂取基準(30~49歳男性での推奨量、目標量)の1/3量に対する割合(%)
カロリーだけに着目しない。
カロリーだけに着目すると、実は糖質過多になっていたり、食事のバランスが偏りがちに。カロリーを制限する食事法は、食べたいものを我慢しなければいけないことも多く、続けにくいのが難点です。
糖質はケア、必要な栄養素はキープ。
糖質をケアして、肉や魚、野菜などをしっかり摂るようにすると、食事のバランスが自然と改善。カラダに必要なたんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素をしっかり摂ることができます。
糖質とカロリーって
どんな関係?
「カロリー」とは、生きてカラダを動かすためのエネルギーのこと。エネルギーというと脂質のイメージが強いですが、糖質もエネルギー源なのです。エネルギーになるのは、糖質、脂質、たんぱく質の3つの栄養素だけですが、なかでもエネルギー源として使われやすいのが糖質です。
カロリーが高いと糖質も高め!? 糖質が多いのはどっち?
普段カロリーだけを気にしてメニューを選んでいませんか?実は意外なところで糖質を摂りすぎているかもしれません。
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- 正解はコチラ
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きつねうどん
揚げ物が入っているコロッケそばはカロリーが高めですが、糖質に着目すると、麺の分量が多く、砂糖などで甘辛く味付けした油揚げが入っているきつねうどんのほうが糖質が高くなります。また麺類を選ぶ場合は、副菜などをプラスしてバランスをとりましょう。
〈糖質量〉
コロッケそば:53.6g/きつねうどん:62.6g
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- 正解はコチラ
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ナポリタン
味付けにケチャップを使うナポリタンは、パスタの中でも糖質高め。一方、カルボナーラは塩、コショウのみで味付けするため、ナポリタンより糖質は少なめです。ただし、カルボナーラは脂質が多くカロリーが高めなので、食べる頻度はほどほどに。
〈糖質量〉
ナポリタン:86.8g/カルボナーラ:77.2g
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- 正解はコチラ
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酢豚
回鍋肉のような炒めものと比べて、酢豚は糖質が高め。その理由は、砂糖やケチャップなどを使った甘酢あんにあります。糖質ケア中は、とろみの付いた甘辛い味付けのメニューは控えめにしましょう。
〈糖質量〉
回鍋肉:9.9g/酢豚:38.5g
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ようかん
砂糖をたっぷり使ったようかんは糖質が高め。一方、卵や牛乳を使うプリンはカロリーのわりに糖質は控えめです。脂質をほとんど含まない和菓子は低カロリーですが、砂糖の量は多いので気を付けましょう。
〈糖質量〉
ようかん:18.9g/プリン:16.2g
監修医師のご紹介
東邦大学医学部内科学講座
糖尿病・代謝・内分泌学分野 教授
弘世 貴久
- 昭和60年
- 大阪医科大学卒業
- 昭和60年
- 大阪大学第三内科研修医
- 昭和63年
- 大阪大学大学院医学研究科入学(平成4年 医学博士号取得)
- 平成 4年
- 米国国立衛生研究所(NIH)研究員
- 平成 9年
- 大阪大学医学部第三内科助手
- 平成 9年
- 西宮市立中央病院内科医長
- 平成16年
- 順天堂大学医学部内科学代謝内分泌学講座 講師
- 平成18年
- 順天堂大学大学院代謝内分泌内科学 助教授
- 平成24年
- 東邦大学医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌学分野教授
現在に至る
「糖質0」と「糖類0 」は意味が違う!?
糖質と混同されがちなのが、炭水化物。炭水化物には、カラダに吸収されてエネルギー源になる「糖質」と、吸収されない「食物繊維」の両方が含まれます。つまり、糖質とは炭水化物から食物繊維を除いたもの。さらに糖質は、ブドウ糖や砂糖(ショ糖)などの「糖類」とでんぷんなどの「多糖類」に分けられます。
糖質
消化・吸収されてエネルギー源に!
糖 類
単糖類(ブドウ糖など)や、単糖が2個合体した二糖類(ショ糖・乳糖など)のこと
など
多糖類
単糖が10個以上つながったもの
など
食物繊維
消化・吸収されない
食物繊維のはたらき
- 食物中のコレステロールやブドウ糖の吸収を抑える
- 善玉菌のエサになって腸内フローラを整える
- 便のかさを増やしてお通じを整える
糖質の摂りすぎは
肥満につながる?
食事で摂った糖質は消化・吸収され、エネルギー源として使われたり、グリコーゲンという貯蔵型の糖質として筋肉や肝臓に蓄えられたりします。さらに、摂りすぎた余分な糖は主に肝臓で中性脂肪に変えられ、一部は脂肪組織に取り込まれて蓄積します。たとえ脂質の摂取を控えめにしても、糖質を摂りすぎてしまえばカラダに脂肪がたまるのです。
- 小腸から吸収された糖質はいったん肝臓に運ばれる
- 肝臓を経由したブドウ糖は血液へ
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肝臓に運ばれた糖質がどうなるか
吸収された糖はグリコーゲンという貯蔵型の糖質として肝臓に蓄えられる。グリコーゲンとして蓄えられる分を超えた余分なブドウ糖は、肝臓で中性脂肪に変えられる。
- ブドウ糖は脳や筋肉などに運ばれてエネルギー源に
- グリコーゲンという貯蔵型の糖質として筋肉に蓄えられる
- 摂りすぎた余分な糖は、肝臓や脂肪組織で中性脂肪に変化。体脂肪として脂肪組織に蓄えられる
※ インスリンのはたらき
食事を摂って血糖値が上がると、膵臓から血糖値を下げるはたらきをするインスリンというホルモンが分泌されます。このインスリンの作用で血液中のブドウ糖が筋肉や脂肪組織に取り込まれたり、グリコーゲンという貯蔵型の糖質に変えられたりすることで、食後に上がった血糖値はもとの値に戻ります。
監修医師のご紹介
東邦大学医学部内科学講座
糖尿病・代謝・内分泌学分野 教授
弘世 貴久
- 昭和60年
- 大阪医科大学卒業
- 昭和60年
- 大阪大学第三内科研修医
- 昭和63年
- 大阪大学大学院医学研究科入学(平成4年 医学博士号取得)
- 平成 4年
- 米国国立衛生研究所(NIH)研究員
- 平成 9年
- 大阪大学医学部第三内科助手
- 平成 9年
- 西宮市立中央病院内科医長
- 平成16年
- 順天堂大学医学部内科学代謝内分泌学講座 講師
- 平成18年
- 順天堂大学大学院代謝内分泌内科学 助教授
- 平成24年
- 東邦大学医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌学分野教授
現在に至る
1日の糖質摂取量、どのくらいが目安?
1日に必要な総エネルギー量の50~60%を糖質から摂取するのが目安です。年齢や性別、日常生活でのカラダの動かし方によって目安量は変わってきます。
-
-
- 質問1:
- あなたの性別は?
-
- 質問2:
- 仕事や移動、家事などでどのくらい
カラダを動かしていますか?
-
- ほとんどカラダを動かしていない/男性
- 糖質目安量は・・・
-
-
1日の
糖質目安量 -
30~40代
約316g -
50~60代
約289g
-
1日の
-
-
1食の
糖質目安量 -
30~40代
約105g -
50~60代
約96g
-
1食の
-
- ほとんどカラダを動かしていない/女性
- 糖質目安量は・・・
-
-
1日の
糖質目安量 -
30~40代
約241g -
50~60代
約227g
-
1日の
-
-
1食の
糖質目安量 -
30~40代
約80g -
50~60代
約76g
-
1食の
-
- ある程度カラダを動かしている/男性
- 糖質目安量は・・・
-
-
1日の
糖質目安量 -
30~40代
約364g -
50~60代
約337g
-
1日の
-
-
1食の
糖質目安量 -
30~40代
約121g -
50~60代
約112g
-
1食の
-
- ある程度カラダを動かしている/女性
- 糖質目安量は・・・
-
-
1日の
糖質目安量 -
30~40代
約275g -
50~60代
約261g
-
1日の
-
-
1食の
糖質目安量 -
30~40代
約92g -
50~60代
約87g
-
1食の
糖質目安量の算出方法
1日の推定エネルギー必要量*の55%を糖質で摂るものと仮定。糖質から摂るエネルギー量を糖質1gあたりのエネルギー量(4kcal)で割り、1日の糖質目安量を算出した。
*厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2015年版)
糖質を多く含むのは
どんな食品?
糖質は甘い菓子類はもちろん、ごはんやパンなどの穀類やいも類、豆類、果物などに多く含まれています。濃い味付けの料理や揚げ物も糖質高めなので要注意です。
監修医師のご紹介
東邦大学医学部内科学講座
糖尿病・代謝・内分泌学分野 教授
弘世 貴久
- 昭和60年
- 大阪医科大学卒業
- 昭和60年
- 大阪大学第三内科研修医
- 昭和63年
- 大阪大学大学院医学研究科入学(平成4年 医学博士号取得)
- 平成 4年
- 米国国立衛生研究所(NIH)研究員
- 平成 9年
- 大阪大学医学部第三内科助手
- 平成 9年
- 西宮市立中央病院内科医長
- 平成16年
- 順天堂大学医学部内科学代謝内分泌学講座 講師
- 平成18年
- 順天堂大学大学院代謝内分泌内科学 助教授
- 平成24年
- 東邦大学医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌学分野教授
現在に至る
糖質と一緒に摂りたい!
糖質の代謝に欠かせないビタミンB1
カラダを動かすための主要なエネルギー源となる糖質。食事から摂った糖質は、酵素によって分解されてエネルギーに変わりますが、その酵素のはたらきに必要となるのがビタミンB1です。ビタミンB1が不足すると、糖質から十分にエネルギーを作り出せなくなり、疲れやすくなることも。また、エネルギーとして利用されなかった余分な糖質は、中性脂肪に変えられて体脂肪になります。糖質を多く摂るとビタミンB1が不足しやすくなるため、意識的に摂取することが大切です。
※[]は1回に食べる目安量。数値(mg)はビタミンB1含有量。
ビタミンB1の1日の推奨量は、30~40代の男性なら1.4mg、女性なら1.1mg。50~60代では、男性なら1.3mg、女性なら1.0mgです。しかし、平均摂取量は男女とも推奨量を下回っており、日本人の多くはビタミンB1が不足気味。豚肉や豆類、未精製の穀類など、ビタミンB1を多く含む食品を食事に取り入れるようにしましょう。主食のごはんを白米から玄米や胚芽精米に変えると、ビタミンB1を手軽に摂れるのでオススメです。
参考文献
厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2015年版)」策定検討会報告書,2014.
厚生労働省:平成29年国民健康・栄養調査報告,2018.
文部科学省 科学技術・学術審議会 資源調査分科会:日本食品標準成分表2015年版(七訂),2015.
林淳三(監修):三訂 基礎栄養学,建帛社,2015.
1975年頃の日本食をお手本に、
糖質・脂質に偏った食事を見直そう!
日本食は健康にいいものとして世界中で注目されていますが、いつの時代の日本食が最も健康的なのでしょう? 1960年から現代までの日本食をマウスに与えた研究結果によると、1975年頃の日本食は肥満を抑制し、加齢にともなって増える健康トラブルを抑制する可能性が示されています。健康な人を対象とした研究でも、1975年頃の日本食を摂取したグループでは現代食を摂取したグループと比べて体脂肪や中性脂肪値が低下したと報告されています。
1975年頃の食事が現代食と大きく違うのは、使われている食材の多様さ。魚介類や大豆製品、野菜、果物、海藻、きのこなどを積極的に摂取し、卵や乳製品、肉も適度に摂っていました。味付けも、だしや発酵系の調味料(しょうゆや味噌など)をうまく活用し、砂糖や塩は控えめでした。それに比べ、現代の食事では丼ものなどの単品メニューや肉類・油脂類が多いメニューが増えてきており、糖質や動物性の脂肪を摂りすぎてしまう傾向に。こうした食事では、カロリーが高いわりに必要な栄養素が摂れていないこともあるため、食生活の見直しが必要です。
参考文献
本間太郎ら: 日本食品科学工学会誌 2013; 60(10): 541-553.
北野泰奈ら: 日本栄養・食糧学会誌 2014; 67(2): 73-85.
Sugawara S, et al.: J Oleo Sci 2018; 67(5): 599-607.
文部科学省 科学技術・学術審議会 資源調査分科会:日本食品標準成分表2015年版(七訂),2015.