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「病気」じゃないから自覚症状もない!不調に気づきにくい!
簡単にできるセルフチェックで「フレイル」の早期発見を

「フレイル」とは厚生労働省によると「老化に伴う種々の機能低下(予備能力の低下)を基盤とし、様々な健康障害に対する脆弱性が増加している状態、すなわち健康障害に陥りやすい状態」のことを言います。英語で「虚弱」を意味する「frailty(フレイルティ)」から「フレイル」と名付けられました。
簡単にいうと、「日常生活を送るために必要な気力や体力が低下した状態」のこと。
ただちに問題となる身体・精神的不調はないが、自律障害や死亡を含む健康障害を招く可能性がある「要注意」状態にあり、「健康」と「要介護」の中間の段階と言われています。

「フレイル」は「身体的要因」「精神・心理的要因」「社会的要因」が影響し合うことで起きると考えられています。加齢などにより動く機会が減ると、筋力が低下します。筋力が低下するとエネルギーの消費量が減るため、食べる量が以前よりも少なくなり、低栄養の状態になると言われています。
栄養不足になると筋力低下が進み、疲れやすくなるため、体を動かす、外出する、人と会うといったことが面倒になり、家にこもりがちに…。閉じこもることが増え、社会との関わりが減ると「うつ」状態になったり、「認知機能」や「筋力・体力低下」がさらに加速すると言われ、「フレイル」になると考えられています。

このように「フレイル」は「加齢」による体力・気力の低下が原因のため、シニア世代の間で最近話題になっていますが、シニア世代が抱えるリスクとして以前から問題となっているのが「サルコペニア」。「サルコペニア」とは、加齢により筋肉量が減り、筋力が低下した状態のこと。つまり「サルコペニア」は「フレイル」を引き起こす身体的要因の1つ!「サルコペニア」になってしまうと運動量や食事の量が減少。外出がおっくうになったり、社会との関わりが面倒になるなど、精神面にも影響を与え、悪循環に陥ってしまうのです。

「フレイル」はあくまでも「虚弱」の状態であり、「病気」ではありませんが、放置しておくと認知機能の低下や筋力低下による骨折リスクが高まり、「要介護」の状態になることも!「自分にしかわからないささいな変化」が多いことから周囲に気づかれにくく、自分でも「歳だから仕方ない、病気ではないし…」といって適切な対策をとらないと、どんどん状態が悪化するため、ささいな変化を見逃さない!早期発見&早期対策がポイントです。

痛みなどの自覚症状はなく、ただちに日常生活に支障をきたすものではないので、早期発見が難しいと言われていますが、簡単にできるセルフチェック法を2つご紹介!
まずはこちら↓

・6カ月間で2㎏以上の体重が減った
・以前より疲れやすくなり、何をするのも面倒に感じる
・以前より歩く速度が遅くなった。横断歩道を青信号の間に渡れなくなった
・以前より握力が低下している。ペットボトルやジャムなどの蓋を開けるのも面倒
・体操、ウォーキングなど定期的に運動・スポーツをしていない
・食欲があまりない
・1日の食事回数は1~2回のことが多い
・以前より人と会うのが面倒になった

コロナ禍で「運動しにくい」「人と会いにくい」こともありますが、8つのうち4つ以上あてはまると「フレイル」になっている可能性があります。
とくに、「体重減少」、「歩行速度」「握力低下」「食欲低下」に該当する方は要注意!

さらに、是非、実践して欲しいチェック方法が「輪っかテスト」です。
両手の親指と人差し指で輪を作って、ふくらはぎの一番太いところを囲んでみましょう!
実はこちらは「フレイル」の原因の1つと言われる「サルコペニア」をチェックする方法。

・ふくらはぎを囲めなかった人→問題なし
・ちょうど囲めた人→リスクはあるが、即問題となることはなし
・隙間ができた人→サルコペニアか、その予備群の可能性があり要注意

2020年4月から75歳以上を対象とした後期高齢者の健康診断に「フレイル健診」が追加され、早期発見ができるようになりましたが、75歳以下の方でも「フレイル」になっている方が多いのが実状。シニア世代「だけ」の問題と思われがちですが、実は筋力低下は40代から始まっていると言われています。最近はコロナ禍で外出する機会が減っていることから筋力が低下しやすい女性や40代、50代でも「フレイル予備軍」の方が増えていると言われているため、年代に関わらず、このチェックを活用すると◎です。

■「筋肉の素」となるたんぱく質を積極的に摂取すると◎!

いつまでも自分らしく!健康寿命を延ばすためには「フレイル」にならないことが大切ですが、「フレイル」は日々の生活習慣でしっかりと「予防をする」ことができます。
具体的な「対策法」は5つ!

1.軽い運動、体操などをできるだけ毎日続ける、少しでも体を動かすことを心がける
2.食事は1日3食、栄養バランスを考えて、色々な食材を摂る
3.食事の際はよく噛み、なるべく硬い食物を摂ることを心がける
4.食事の後の歯磨きなど、口腔ケアは毎日実践する
5.家族との会話を増やしたり、趣味の時間を作るなど、毎日を楽しむことを心がける

1ですが、やはり「筋力低下」は疲れやすくなったり、エネルギーの消費量が減ることで食欲低下にもつながるため、ウォーキング、体操など手軽にできる「運動」を実践すると良いでしょう。また、「栄養不足」も「フレイル」の原因になるので、1日3食しっかりと!栄養バランスを考えるのも重要ですが、色々な食材を摂ることは栄養面だけでなく、食事を楽しむことにもつながり、「食欲低下」を防ぐことにもつながります。全て手作りは大変ですが、レトルトや缶詰などを利用すると◎です。

また、3、4にあるように「口腔ケア」を実践することも大切!口腔機能が衰えると食事の量を控えたり、食材が偏るなど、「栄養不足」にもつながるため、「柔らかいものばかり」食べるのではなく、毎日良く噛み、食後はしっかりと歯を磨くなど、年齢を重ねても「自分の歯でしっかりと食事を摂る」ことが重要です。
そして、「家族や友人と会話をする」など「日々の生活を楽しみ心を上向き」にすることも「フレイル」対策には有効!
コロナ禍では思うように外出ができず、屋外での運動や人との関わりを持つことが難しいですが、「家の中」でもできるおすすめの対策がコチラ

・座っている時間をできるだけ減らす
家の中でもできるだけ立ったり歩いたりする時間を増やすとGOOD!
TVを見ながら足踏みするなど、少しでも体を動かすことを心がけましょう。

・家の中でのラジオ体操&レジスタンス運動を行う
ラジオ体操は筋肉の衰えだけでなく、関節回りの運動にもなるのでおすすめ!
スクワットなど「足腰の筋肉に働きかける」レジスタンス運動を行うと◎

・口周りの筋肉を維持する
人と会話をすることが一番ですが、コロナ禍で直接会えない場合は電話やオンラインなどを積極的に活用し、会話を増やすことを心がけましょう。
TVの歌番組に合わせて歌ったり、早口言葉を毎日言うなど、一人暮らしであってもできるだけ声を発することを意識し、お口の筋肉が衰えないようにしましょう。

「フレイル」予防には「バランスの良い食生活」を続けることが大切ですが、とくにシニア世代は「筋肉の素」となるたんぱく質が不足しがちなため、肉、魚、卵、牛乳など乳製品からたんぱく質をしっかり摂取しましょう。
厚労省のデータによるとシニア世代が1日に必要な摂取量は「1.0~1.2g×体重(kg)」だそう。体重が50㎏の場合、毎日50~60g摂ると「フレイル」予防に効果があると言われています。たんぱく質はどの食材から摂っても良いですが、肉だけ、魚だけ、卵だけ…に偏らず、こちらもバランス良く摂るのが◎。
あまり食欲がない…食が細くてたくさん食べられないという方は手軽にできる「たんぱく質プラスオン」がおすすめ!
例えばお味噌汁に豚肉、鶏肉、お豆腐や油揚げをプラス。また「しらす」はご飯にのせても、豆腐にのせても、野菜炒めやパスタに加えてもOKなため、冷蔵庫に1個常備しておくと良いでしょう。バランスの良い食生活を続けるには「手軽さ」も重要なポイントのため、無理をせず、「食べる」ことを楽しみましょう!

さて、ここでクエスチョン!

最近、認知症や骨折などの要介護の状態になりやすい「フレイル」が話題となり、「健康寿命」の大切さが叫ばれていますが、「平均寿命」と「健康寿命」について述べたもので正しいものはどれでしょうか?

〈1〉「平均寿命」は男性の方が短いが、「健康寿命」は男女ともほぼ同じ年齢である
〈2〉 健康意識の高まりから、2001年との比較で「平均寿命」より「健康寿命」の方が延びている
〈3〉「平均寿命」と「健康寿命」の差は男性より女性の方が大きい

正解は…

「平均寿命」とは現在、0歳の人が何歳まで生きられるかを予測した「平均余命」のこと。
「健康寿命」は介護など他人に頼らず、自由に自立した生活を送ることのできる期間を言います。

厚生労働省の2016年の調査によると「平均寿命」は男性が80.98歳で女性は87.14歳、「健康寿命」は72.14歳と74.79歳という結果に。「平均寿命」と同様、女性の方が「健康寿命」も長いですが、「平均寿命」との「差」で見ると、男性が8.84歳、女性は12.35歳と女性の方が長く、寝たきりや介護などの問題が深刻になりやすいと言われています。

健康意識の高まりから、2001年と2016年を比較すると「平均寿命」も「健康寿命」もどちらも延びていますが、「平均寿命」は男性が2.91歳、女性が2.21歳に対し、「健康寿命」は2.74歳、2.14歳と「平均寿命」よりも延びていません。
人生100年時代を自分らしく生きるために、食事・運動などの早めの対策で「健康寿命を延ばす」ことが大切です。

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