ヘルスケアNEWS

「急性すい炎」は一過性ではなく、再発し、
「慢性すい炎」となるケースも!
痛みが軽い場合もあるので飲酒後、
胃や背中に不快感を感じたら注意を

すい臓は胃の裏側ある、長さ約15~20cmほどの臓器。食物の消化に関わるすい液という消化液を作るほか、血液中の糖分(血糖値)を調節するためのホルモンを出す働きがあります。重要な臓器であるにも関わらず、胃腸、肝臓などと比べ注目度が低いため、積極的な健康対策を行っている人が少ないと言われています。
ダメージを受けていても自覚症状が少なく、気づいた時には症状が進行していることも多いので、沈黙の臓器・サイレントキラーとも呼ばれており、中でも怖いのが「急性すい炎」と「慢性すい炎」。

「急性すい炎」は突然起きるすい臓の炎症のこと。お腹(上腹部)の激しい痛み、背中やみぞおちの痛み、嘔吐・吐き気、発熱などが主な症状と言われています。本来、すい臓で作られたすい液は、腸に分泌されてから活性化するのですが、アルコールの過剰摂取などですい液の分泌量が過剰になるとすい臓の中で活性化してしまうことも!活性化すると食べ物を消化するようにすい臓自体を溶かそう(自己消化)とするため、炎症が起きると考えられています。

「慢性すい炎」は小さな炎症を繰り返しながら、すい臓の機能が徐々に低下する病気。腹痛や背中の痛みが主な症状ですが、「急性すい炎」のように激しいものではなく、病気が進行するとともに痛みを感じにくくなってくるのが特長。
すい臓の機能が低下してくると消化吸収がうまくいかなくなるため、下痢や体重減少などの症状が出ると言われています。慢性すい炎の原因はアルコールやストレスなどが挙げられますが、自覚症状が軽く、何もしなくても痛みが治まることが多いことから、発見が非常に難しい病気と考えられています。

「急性」「慢性」いずれも侮ってはいけない病気ですが、年末年始、とくに発症しやすいと言われているのが「急性すい炎」。アルコールだけでなく、暴飲暴食が原因でできると言われる「胆石」が胆嚢(たんのう)に詰まってしまうと、胆嚢とつながっているすい臓にも影響を与え、炎症を起こすと言われています。「急性すい炎」の原因が、男性の約50%近くがアルコールであるのに対し、女性は胆石がきっかけとなることが多いようです。しかし、女性は男性よりも少ない飲酒量で「急性すい炎」になることがわかっています。また、あまりお酒を飲まない方が一度に大量のアルコールを摂取すると発症することがあるため、「飲む機会が増える」年末年始は要注意です!

「火事」に例えられるほど猛烈な痛みが特長の「急性すい炎」ですが、軽症の場合は背中の痛みも我慢できる程度のため、そのまま放置すると重症化・再発するケースも!「急性すい炎」は一過性のもので、治療をすれば完治すると思われがちですが、実は約2割が重症化し、死に至ることも。また再発しやすい病気と言われ、「慢性すい炎」になることも多いので、異変を感じたら、すぐに医師の診察を受けることが◎!そこで早期発見を助ける3つのポイントをご紹介。

お酒を飲んだ後
1.お腹の上のあたりが痛い・だるく感じる
2.みぞおち・背中に痛みがある、
押すと痛みを感じる
3.微熱がある・いつもより体温が高い

痛みやだるさがおさまってもすい臓が炎症を起こしている可能性があるので、お酒を飲んだ後、3つの症状が出る方は早めに医師に相談に行くと良いでしょう。

■すい炎対策はアルコールだけでなく、胆石対策もすると効果的!

何の前触れもなく発症する「急性すい炎」。年末年始だけでなく、いつでも楽しく飲酒・食事を楽しむために「急性すい炎」にしない・再発させない「対策法」をご紹介。急性だけでなく、「慢性すい炎」の予防にもなるため、是非実践しましょう!

1.アルコールを摂り過ぎないように心がける
2.1日3食、できる範囲でバランスの良い
食生活を心がける
3.ゆっくり良く噛んで食べる
4.高脂肪の食事・おやつはできるだけ控える

最大の原因と言われる「アルコール」の摂取については「摂り過ぎない」ように注意を。「適量」についてはかなり個人差があるため、一概には言えませんが、厚生労働省は適正な飲酒の目安として「1日に2ドリンク以下(日本酒なら1合以下、ビールなら中ビン1本以下、焼酎なら200mLのコップ半分以下)」としています。これを守っていれば「急性すい炎」にならないわけではないですが、飲酒習慣のある方は目安にすると良いでしょう。

さらに、1日3食規則正しく食べることも大切!消化器官であるすい臓にできるだけ負担をかけないよう、「常に満腹」まで食べるのではなく、「腹八分目」を心がけましょう。
よく噛むことで満腹感が得られ、「食べ過ぎ」を防ぐ効果も!また食事時間が不規則だと胆汁が出るタイミングにも影響を与えたり、過剰に生成されたりすることで胆石ができるリスクが高くなるため、朝昼晩、できるだけ決まった時間に同じ量を食べると良いでしょう。 お菓子など脂肪分の高いもの、揚物などコレステロールの高い食事・おやつも消化器官であるすい臓に負担をかけたり、胆石ができる原因となるので「控えめ」が◎です。

「急性すい炎」の対策には食べ過ぎない・飲み過ぎないが鉄則ですが、「すい臓」に負担をかけない食材を摂ることも対策になります。ささみや白身魚、野菜などは肝臓に負担をかける脂質が少ない食材と言われていますが、なかでも大根は消化を助ける酵素も豊富なため、おすすめ!食べごたえもあるので「食べ過ぎ予防」にもなります。

さて、ここでクエスチョン!

年末年始に急増すると言われる「急性すい炎」。
「急性すい炎」は悪化・再発を繰り返すと「慢性すい炎」や「すい臓がん」になるリスクが高くなると言われていますが、「すい臓がん」について述べたもので正しいものはどちらでしょうか?

〈1〉すい臓がんは他の臓器のがんに比べ、5年生存率が高い
〈2〉すい臓がんは他の臓器のがんに比べ、5年生存率が低い

「すい臓」は沈黙の臓器と言われ、早期発見が難しいだけでなく、進行が早いことから他の臓器のがんに比べ、生存率が低い「難治がん」と考えられています。一時は5年生存率が1割程度と言われていましたが、最近は治療の技術も進化し、2~4割程度に。

病気が発覚した時には手術ができないほど進行しているケースも多いので、発症リスクが高まる50代~60代の方はすい臓の検査を定期的に受けるなど、対策をすると良いでしょう。

PageTop