ヘルスケアNEWS

「ヒートショック」は浴室で発症した場合、
死に至ることも!
「防ぐことができる」リスクのため、
日ごろから対策を

「ヒートショック」とは温度の急激な変化で血圧が上下に大きく変動することで、失神したり、不整脈・心筋梗塞・脳梗塞といった血管の病気を引き起こす健康被害のことを言います。
原因は「気温差による血管と血圧の変化」。温かい部屋から寒い部屋へ移動したり、寒い部屋から暖かい部屋へ移動すると血管は収縮したり、拡張するなどして体温調節を行います。しかし、急激な温度変化で収縮・拡張を何度も繰り返し血管に大きな負担がかかると、詰まったり、破れることがあります。
また血管が収縮すると血液が流れにくくなり、血液を送りだそうと心臓が活発に働くので高血圧に。逆に拡張すると血圧が下がるため、血管の収縮・拡張が何度も繰り返されると血圧も大きく変化し、心臓に負担をかけると言われています。

「ヒートショック」は特に冬の入浴時に起こりやすいことがわかっています。浴室で発症した場合、ただちに死に直結することはありませんが、発見が遅れてしまうと溺死につながることも。 2021年人口動態調査(厚生労働省)によると65歳以上の家・居住施設の浴槽における不慮の溺死・溺水は4,750人!これは2021年の65歳以上の交通事故人数2,150人を上回る数値でもあるため、決して侮ってはいけません。

「ヒートショック」はシニア層、睡眠時無呼吸症候群、糖尿病や動脈硬化など生活習慣病に罹患している方の発症リスクが高いと言われていますが、現代人は食生活の欧米化による栄養の偏りや、生活習慣の乱れによる血行不良など、血管が詰まりやすくなっていると言われているので、年代問わず「ヒートショック」になる方が急増。さらに「ヒートショック」は冬だけでなく、外気と室内の気温差が激しくなる「夏」にも起きると言われています。
暑い中汗だくで帰宅し、すぐに冷たいシャワーを浴びて発症…というケースも増えているため、夏だからと安心せず、1年を通して注意が必要です。

「ヒートショック」はある日突然、何の前触れもなく発症しますが、特にどんな方が注意が必要なのでしょうか?簡単にできるセルフチェックをご紹介。

1.肥満気味、血圧が高め
2.自宅の脱衣所・浴室に暖房設備がない
3.一番風呂が好き
4.42度以上の熱い湯温が好き
5.飲酒後に入浴することがある
6.30分以上お湯に浸かっている

2つ以上あてはまる方は「ヒートショック」になるリスクがあるので入浴時には注意を!
特に「入浴時」は発症率が高いので日ごろから心がけておくと良いでしょう。

■消費者庁が推奨する「対策法」は6つ!「ヒートショック予報」も活用するとより効果的

「ヒートショック」は他の健康トラブルとは異なり、「防ぐことができる」と言われています。
どのようにすれば良いのか?消費者庁では、2021年12月8日に「注意喚起」として以下6つの対策法を公開しています。

1.入浴前に脱衣所や浴室を暖める
2.湯温は 41度以下、湯につかる時間は
1回10分までを目安に
3.浴槽から急に立ち上がらないようにする
4.食後すぐの入浴や、飲酒後、
医薬品服用後の入浴は避ける
5.入浴する前に同居者に一声掛けて、
意識してもらう
6.湯温や部屋間の温度差、入浴時間など普段意識しにくい部分について、
温度計やタイマーを活用して見える化する

脱衣所などに暖房設備がない場合は服を脱ぐ前に、浴室内の壁にシャワーで温水をかけたり、入浴前に浴槽の蓋をあけ、脱衣所と浴室を温めたりすると良いでしょう。

また、湯温が高かったり、長湯しすぎると心臓に負担をかけ、血管に悪影響を与えるため、できれば41度以下、1回10分以内を目安にすると◎。高温の風呂が好きという方は入浴前にシャワーやかけ湯をしっかりと!その際も心臓からではなく、脚など心臓から遠いところからかけ、徐々に慣らしていきましょう。
長湯派という方は、長湯をすると発汗により脱水を起こすことがあるので、入浴前にコップ1杯のお水を飲みましょう。3の浴槽から立ち上がる時も注意を!入浴で血圧が低下しているため、急に立ち上がるとめまいを起こして転倒したり、失神するケースがあります。
入浴は生活の一部になっているため、あまり意識することはありませんが、「ヒートショック」のようなリスクもあるので、血圧が正常ではない食後すぐや飲酒後は控えること。医薬品服用後も心臓など体に負担がかかることがあります。

5の「同居者への声掛け」も大切。「ヒートショック」は発見が遅れることで死に至ることが多いため、家族など同居者に意識してもらうことで万が一の事態に備えることができます。また湯温や浴室の温度などは自分の感覚ではわかりにくいため、温度計などを設置しておくと目安になるでしょう。

さらにヒートショックの予防には日本気象協会の「ヒートショック予報」の活用を。例年10月~3月に家の中でのヒートショックリスクを地域ごとに公開しているので参考になります。

「ヒートショック」にいい食材はありませんが、心筋梗塞などを引き起こす「血管の詰り」を予防するために「血液サラサラ効果」のあるサンマやイワシなどの青魚や「血液の酸化を防ぐ」お酢やレモンなど「クエン酸」を含む食材を摂ると良いでしょう。特に「お酢」は血圧を下げる効果も期待できるためおすすめです。

さて、ここでクエスチョン!

寒暖差が激しくなる冬に急増する「ヒートショック」。浴室などで発生し、最悪の場合は死に至ることもあるとして行政も注意を呼びかけていますが、「ヒートショック」について述べたもので正しいのはどれでしょうか?

〈1〉寒暖差が15度以上あると発症リスクが高まる
〈2〉寒暖差が10度以上あると発症リスクが高まる
〈3〉寒暖差が5度以上あると発症リスクが高まる

住環境によっても差はありますが、一般的に寒暖差が「10度以上」ある場所はリスクが高いと考えられているため、浴室だけでなく、トイレなどに行く際も注意が必要。

とくに起床後すぐにトイレに行った際に「ヒートショック」になる方も多いので、厚手の衣類を1枚着るなど配慮をすると良いでしょう。

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