ヘルスケアNEWS

「もの忘れ」が同年代の方よりも多かったら要注意?!
「MCI」は早期発見&早期対策で十分に完治も可能

「MCI(軽度認知障害)」という言葉だけを聞くと、「軽い認知症」のように思ってしまいますが、実は「認知症」と「MCI」は全く異なります。最も大きな違いは「日常生活を支障なく、自立して行えるか否か」。認知症の場合は日常生活に支障をきたすほどに認知機能が低下している状態ですが、MCIは実年齢以上に認知機能や記憶機能が低下しているが、日常生活を送るにはさほど支障はない状態のことをいいます。

日常生活に即影響を与えるほどの障害ではないので、「まだ大丈夫」「歳をとれば多少のことは仕方ない」と片付けてしまいがちですが、「MCI」はそのまま放置しておくと多くが「認知症」になると言われています。逆に早期発見&早期対策をすれば進行を防いだり、回復をすることもあるので、まずは自分や家族が「MCI」なのか?現状を知ることが大切です。

一般的に「MCI」の方の特長として
・同年代と比較して「物忘れ」が多い
・言葉を適切に理解したり、話すことができない、順序や計画が立てられないなど一部の認知機能に障害がある
と言われています。

「物忘れ」については「認知症」に「覚えていない・思い出せない」という症状が出ることから、老化による「物忘れ」も認知症と考えてしまいがちですが、実は加齢によるものと認知症によるものは大きく異なります。加齢による「物忘れ」はヒントを出されれば思い出したり、物忘れを自覚しているのに対し、認知症の場合は物忘れの自覚がなく、ヒントを出されても思い出せない、さらには経験したこと自体を忘れてしまうと言われています。ですので「自分は物忘れが多い方だ」「また物忘れをしてしまった」と自覚している方は認知症ではなく、加齢によるもの、もしくは「MCI」である可能性があります。

「MCI」の場合は「日常生活に支障はない」ので発見が難しいですが、チェックの1つの目安として東京都から出されている「気づきリスト」を試してみると良いでしょう。

1. 財布や鍵など、物を置いた場所がわからなくなることがありますか
2. 5分前に聞いた話を思い出せないことがありますか
3. 周りの人から「いつも同じ事を聞く」などのもの忘れがあると言われますか
4. 今日が何月何日かわからないときがありますか
5. 言おうとしている言葉が、すぐに出てこないことがありますか
6. 貯金の出し入れや、家賃や公共料金の支払いは一人でできますか
7. 一人で買い物に行けますか
8. バスや電車、自家用車などを使って一人で外出できますか
9. 自分で掃除機やほうきを使って掃除ができますか
10. 電話番号を調べて、電話をかけることができますか

上の10項目について「問題なくできる」が1点、「だいたいできる」を2点、「あまりできない」を3点、「できない」を4点としてチェックしてください。20点以上の場合は、認知機能や社会生活に支障が出ている可能性があるので、即医療機関や相談できる機関に 行く方が良いですが、1~5で「あまりできない」が多かった方は「MCI」の可能性もあるので、心配な方は相談に行くなど対策を。病院でさらに詳細なテストなどMCIかどうかの検査を受けることができるため、「おかしいな」と思ったら早めの受診が◎です。

「無理をせず」に「毎日を楽しむ」ことが「MCI」対策のカギ

「MCI」はまだ「認知症」ではないので、早めの対策で治ったり、発症を抑えることは可能と考えられています。まずは自分が「MCIである」ことを認識することが大切ですが、

1. 「脳」を活性化する取り組みをする
2. 適度に「運動」をする
3. 「食事」は3食しっかりと、栄養バランスを考えた食事をとる
4. 「睡眠」をきちんととり、睡眠不足にさせない
5. 「生活習慣病」の原因となる喫煙、過度な飲酒、暴飲暴食は控える
6. 「歯周病」「虫歯」など歯のトラブルを起こさせない

を実践すると良いでしょう。

最も重要なのは「楽しんで生活をする」こと。楽しむことで脳は活性化されるので、1~3は「誰かと一緒」にやるなど「会話」をしながら続けると良いでしょう。「脳を活性化する」取組みについても何か特別なことを始める必要はありません。もちろん新しいチャレンジをするのもいいですが、「MCI」対策だからといって「無理をする」ことはストレスにつながるので「脳」にとっては悪影響が…。今まで以上に人との会話や趣味を楽しんだり、自分のペースで良いので、「毎日を楽しみ続ける」ことを意識しましょう。

そして「睡眠」についても「睡眠不足」は脳に負担を与えるので×。「脳」は睡眠中に休息をし、記憶を整理していると考えられているので、こちらも「無理のない」程度で良いので睡眠時間を確保すると良いでしょう。

また最近では糖尿病や高血圧、動脈硬化など「生活習慣病」が認知症になるリスクを高めることがわかっています。その為、発症の原因となる喫煙や過度なアルコール摂取、食べ過ぎなどによる肥満には注意!また「歯が衰えて食べ物が噛めなくなる」のも「脳を老化させる」原因になるので×。「歯周病や虫歯」などへの口内ケアは後回しになりがちですが、「食べる」ことを楽しみ続ける為にもしっかりと対策していきましょう。

さらに「カラダの中からの効果的な対策」としてDHAやEPAなど脳に良い栄養素を含む食材を積極的に摂ることを心がけましょう。これらの成分はサバやイワシなど青魚に多く含まれますが、秋に旬を迎えるサンマもDHAなどが摂取できる食材としておすすめ!また青魚以外でもスジコやウナギなどからも摂ることができますが、とくにスジコはDHAだけでなく、脳に直接アプローチして脳の血管を若々しく保つことができるアスタキサンチンが豊富!スジコの塩分が気になるという方はサプリメントなどを活用して「カラダの中から脳のアンチエイジング」を心がけましょう!

さて、ここでクエスチョン!

アルツハイマー型認知症は「脳が小さくなる」ことで起こると言われていますが、脳のどの部分が収縮すると考えられているでしょうか?

〈1〉小脳
〈2〉脳幹
〈3〉海馬

正解は…

認知症には発症する部位の違いでアルツハイマー型、血管型、レビー小体型などがありますが、アルツハイマー型がもっとも多く50%~60%近くを占めると言われています。アルツハイマーの場合はまずは側頭葉の「海馬(かいば)」という部位から収縮が始まり、前頭葉や頭頂葉も委縮することで症状が進んでいくことがわかっています。「海馬」は記憶をつかさどる部位であることから、そこが委縮して本来の働きができなくなることで「もの忘れ」をしたり、「覚えていることができなくなる」など、認知症特有の症状が発症すると考えられています。

PageTop