ヘルスケアNEWS

「我慢できるから」「すぐ治るから」と侮るなかれ!
「貧血」は鉄分不足だけでなく、重篤な病気のサインかも?!

「貧血」とは実は正式な病名ではなく、血液中の赤血球の量やヘモグロビンが不足した状態のことをいいます。主な症状としてめまい・立ちくらみ、顔色が悪い、動悸、息切れ、全身の倦怠感(疲労)など。原因によって出る症状もさまざまですが、どの症状も比較的軽度で済むことが多く、頻繁に症状が出るため「たかが貧血」「放っておけば治る」と放置する方が多いのが実情…。 また「貧血」と言えば女性というイメージが強く、男性の方はとくに軽視しがちですが、実は最近医師などの間で問題となっているのが「男性の貧血」。女性は定期的に月経があるため、「貧血」の原因の多くが「血液を失うことによる鉄分不足」によるものと言われていますが、男性の場合は「他の病気」が隠れていることも!「貧血」を引き起こす病気としてよく知られているのが白血病ですが、働き盛りの男性の間では胃がんや胃潰瘍、大腸がん、十二指腸潰瘍、腎臓の障害などで長期間臓器から出血が続くと貧血症状が出ることがあると言われています。これらの病気は放置しておくと命に関わることもあるため、貧血状態がずっと続くようであればすぐに病院へ行くなど、早めの対策が肝心です。

このように「貧血」は重篤な病気のサインだったり、さまざまな原因で引き起こされますが、最も患者数が多いのが「鉄欠乏性貧血」。その名の通り、「鉄分不足」で発症しますが、ひとくちに鉄分不足といっても食事からの摂取量が足りない、体が必要とする鉄分の量が多い、体から失われる鉄分の量が多いなど、「体内の鉄分量のバランスが崩れる」ことが要因と考えられています。
「鉄欠乏性貧血」については月経や出産などで血液を多く失う女性の患者数が多いと言われていますが、最近は食生活の乱れや激しい運動、過度なダイエット、飲酒や痔による出血過多などで男性患者も急増!「鉄欠乏性貧血」も放置しておくと血液を送り出す心臓に過度な負担がかかり、心不全になることがあるため、「貧血にさせない」「症状を悪化させない」よう早期発見&早期対策が大切です。

■「無症状」の方も要注意!「鉄欠乏性貧血」をチェックできる9項目とは?!

「鉄欠乏性貧血」はめまいや立くらみ、動悸、全身の倦怠感(疲労感)など具体的な症状が出ることが多いですが、近年増えているのが初期の段階で「無症状」という方。

症状が出ないならOKと思いがちですが、適切な対策をとらなければどんどん欠乏状態は深刻になるため、ある日突然、重篤な健康トラブルになることも!症状が出ていなくても血液検査でヘモグロビン濃度が「男性13g/dL以下、女性は12g/dL以下」の場合は「鉄欠乏性貧血」と診断されますが、1年に1度の健康診断では気づきにくいことも多いため、誰でも簡単にできるセルフチェックをご紹介!

1.爪がもろく割れやすい、爪がへこんでいる
2.口内炎ができやすい、口の端が切れやすい
3.ささくれができやすい
4.枝け毛や切れ毛が以前よりも増えた
5.目の下にクマができやすくなった
6.食べ物が飲み込みにくい
7.疲れやすい、寝ても疲れがとれない
8.ちょっと走っただけで息切れする、息切れが長い間おさまらない
9.以前よりイライラするようになった

1~9のうち3つ以上ある方はめまいなどの具体的な症状がなくても「鉄欠乏性貧血」の可能性が高いと言われています。

「鉄欠乏性貧血」の場合、日常生活に支障があるほど症状が酷かったり、ヘモグロビン濃度が男女とも「10g/dL未満」の場合は医師の治療が必要になりますが、基本的には「生活習慣の改善」で対策&予防ができます。

1.バランスの良い食事を朝昼晩、決まった時間に摂る
2.食事はしっかり良く噛んで食べる
3.お酒やタバコは控えめに
4.毎日決まった時間に就寝&起床するなど、睡眠時間はしっかり確保する
5.適度な運動を心がける

ことが大切!

まず何よりも大切なのが「食生活の改善」。「鉄分」をしっかり補うことがポイントですが、1日の食事から摂取する鉄分の量は成人男性は1日7.5mg、女性は10.5mg(月経のない女性は6.5mg)とされています。けれども鉄分は体に吸収されにくく、そのほとんどが排泄されてしまうので、食事は3食しっかりと!できるだけ鉄分を含む食材を毎食摂りいれ、良く噛んで食べることが◎。しっかり咀嚼することは吸収を高めると言われているため、「噛む」ことも意識しましょう。

「お酒やタバコ」も栄養の吸収を阻害したり、血流が滞るなど「貧血」状態を引き起こす原因となるためNG!また「睡眠不足」も体の栄養不足を助長させると考えられているのでしっかりと確保しましょう。「運動」は過剰にやりすぎると汗などから鉄分が体外に多量に流出してしまうため、貧血対策としては×ですが、汗をかかない程度の軽い運動を毎日決まった時間に取りいれることは食欲や適度な疲労感を誘発し、規則正しい食生活&睡眠の確保につながると言われています。汗をたくさんかいてしまった…という方は運動後にブドウやあんずなど鉄分を多く含むドライフルーツやナッツなどを補給するのも◎です。

鉄分を含む食材にはレバーや赤身の肉など動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、野菜や果物など植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」があります。鉄分としての栄養価に差はありませんが、「ヘム鉄」の方が体に吸収されやすい特性があるので「対策」をするならばレバーやカツオ、マグロなどを定期的にメニューに摂りいれると良いでしょう。
なかでも鶏レバーは牛、豚に比べ低カロリー。クセが少なく、焼き鳥など手軽に摂取しやすいのでふだんの食事から鉄分対策をしたい方にはおすすめ。レバーには「ヘム鉄」だけでなく血液を作るために必要なたんぱく質や葉酸も多く含まれているので効果的な対策が期待できますが、たくさん摂るのは苦手…という方は「ヘム鉄」が配合されたサプリメントなども活用するとGOOD。鉄分系サプリは色々なものがありますが、「ヘム鉄」の効果を高めてくれる「ミネラル」も配合された商品を選ぶと良いでしょう。

さて、ここでクエスチョン!

女性だけでなく、男性の間でも増えている「貧血」。「貧血」は「鉄分」不足というイメージがありますが、鉄分とともに「欠乏」が問題となっている「三大微量栄養素」とは下の3つのうちどれでしょうか?

〈1〉カルシウム
〈2〉ビタミンA
〈3〉葉酸

正解は…

「微量栄養素」とはビタミンやミネラルのこと。炭水化物、たんぱく質、脂肪など、食事から摂るエネルギーの大半を占める「多量栄養素」に対し、微量ながらも「成長や発達」、「代謝活動を適切に維持する」ために欠かせない栄養素のことをいいます。

食生活の変化などから栄養不足は世界的な問題になっていますが、なかでも鉄、ビタミンA、ヨウ素は「世界の三大微量栄養素欠乏」とし、WHO(世界保健機関)やユニセフ(国連児童基金)などの国際機関が中心となり、対策を講じています。
そのうち「鉄分」不足は最も深刻と言われ、WHOは先進国、発展途上国を問わず約20億人の方が「貧血」症状に悩んでいるとして注意を促しています。

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