「腸のむくみ」を知っていますか?
体内の水分分布のバランスが崩れて起こる「むくみ」は、脚や顔だけに起こるものではありません。目に見えず自覚しづらい「隠れむくみ」ともいわれる「腸のむくみ」を知っていますか?
腸は広げると総面積がテニスコート1.5面分ともいわれ、むくみを起こすと影響が大きく、ぽっこりおなかの原因が腸のむくみだったということも少なくありません。じつは現代人は、腸のむくみを起こしやすい環境にあります。専門家とともにみていきましょう。
周囲の内臓を冷やしてしまうことも
腸のむくみを起こすのは主に大腸で、2大原因といわれるのが「ストレス」と「腸内環境の悪化」といわれています。日常生活の中には、ブルーライト、電磁波、化学物質といった目に見えないストレスの元が潜んでいます。また、そんな日々のストレスや食生活の乱れ、運動不足が続くと腸内環境が悪化し、むくみが起こりやすくなります。
むくんで水分を蓄えた大腸は冷えやすくなります。「冷え」が腸の活動を鈍らせると、消化吸収だけでなく排泄の機能も低下してしまいます。また、大腸は大きな臓器で、小腸、胃、肝臓、子宮や卵巣、腎臓などと隣接しているため、冷えが周囲の臓器にも及びやすいと言われています。内臓の冷えが続くと、それぞれの臓器で血行不良が起こり機能低下にもつながります。だるい、疲れが取れないといった体調不良の根本的な原因が、腸のむくみということもあるのです。
腸のむくみ予防、はじめましょう
すぐにできる予防策から、日々心がけたい食生活や予防のための運動などをご紹介します。
〈温めて予防〉
おなかを直接温める
おへそ周辺と、お尻の上のほうにある硬い骨(仙骨)の周辺を、カイロや腹巻きなどで温めます。冷えを取るだけでも腸のむくみが和らぎ、おなか周りがすっきりすることがあります。
カラダ全体を温めリラックスする
全身を温めてリラックスを促すことも重要です。冷たいものやカフェインの摂り過ぎは控えましょう。カフェインは交感神経を優位にさせ血管を収縮させる働きが強いので、ノンカフェインのハーブティーなどを選ぶとよいでしょう。また、生姜やニンニクといったカラダを温める作用の高い食材を入れた温かいスープや飲み物を日頃の食事に取り入れるのもおすすめです。
〈食生活で予防〉
善玉菌を増やす
腸内細菌の善玉菌そのものと、善玉菌の餌になる栄養を意識的に摂りましょう。乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌そのものが豊富に含まれているのは、味噌や納豆、キムチ、ヨーグルト、甘酒などの発酵食品です。善玉菌の餌になり善玉菌の数を増やす助けになるのは、ゴボウなどの食物繊維やオリゴ糖などです。近年の研究では葉野菜に含まれる葉緑素が善玉菌の餌になることも報告されています。
よく噛んで食べる
食べ物が大きい状態のままカラダに入ると消化に時間がかかり、消化器官の負担になります。よく噛むと消化酵素が出やすくなり、食べ物を小さい状態で消化器官に送り込むことができます。消化器官への負担を軽くしてあげることも腸内環境を良好に保つ助けになります。
〈運動で予防〉
1.鼠蹊部(そけいぶ)ストレッチ
脚を前後に大きく開いて脚の付け根を伸ばします。鼠蹊部を伸ばすことで、腰の奥にある背骨の下のあたりから太腿の付け根にかけ、骨盤をまたいでついている大きな筋肉、大腰筋(だいようきん)が動きます。骨盤が刺激されることで腸の動きが促され、腸のむくみを予防します。
手を前脚の膝に置いたり、床についたりしても構いません。カラダを安定させて脚の付け根を伸ばしましょう。
2.四股(しこ)スクワット
脚を左右に大きく広げて四股を踏むように上半身を上下させ、スクワット運動をします。鼠蹊部が伸びるだけでなく、太ももやお尻といった股関節周りの筋力アップトレーニングにもなり、腸だけでなく脚のむくみを防ぎます。胸を開き背中が丸くならないように気をつけて行いましょう。椅子に腰かけるようにお尻を後ろに軽く突き出しながら上半身を下げることで、お尻や内ももの筋肉が大きく動きます。
腸は健康を司る大切な臓器です。むくみを防いで内側から快適なカラダをつくり、毎日を楽しく過ごしましょう。
SHIHOさん
健康運動指導士、栄養士、パーソナルトレーナー。筑波大学体育専門学群卒(体育学士)。運動と栄養指導という2つの専門家の知識・経験を交え、幼児から高齢者まで多くの人のカラダを多方面からサポート。現在は、札幌と東京の2拠点で活動。地元札幌のテレビやラジオでも活躍。
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