お酒とのいい付き合い方とは?
お酒はおいしいだけでなく、楽しいコミュニケーションやストレス解消にも一役買ってくれます。近頃は「オンライン飲み会」も定着し、自宅でお酒を飲む機会が増えているかもしれません。そんな中「お酒を飲むと太ってしまう…」と気がかりな人もいるのではないでしょうか?お酒を飲むと本当に太るのでしょうか?
そこで、お酒と太りやすさの関係、太らないお酒の飲み方やおつまみの選び方などを管理栄養士の先生に教えてもらいました。健康的なお酒の楽しみ方を知っておきましょう。
ポイント1:お酒の選び方と飲む量
「お酒を飲むと太る」理由は、アルコールの成分とカラダの関係にあります。ポイントは「糖質」と「アルコール度数」です。
アルコールの主成分であるエタノールはカラダにとって有害なため、早く分解しようと優先的に処理されます。すると一緒に摂っている食事の分解は後回しにされ、太る要因となる糖質の分解が遅れてカラダに溜まっていきます。
また、アルコールが分解される際には、中性脂肪の元になる物質が発生します。アルコール度数が高いほど分解する量が多くなり、中性脂肪ができやすくなります。これらが「お酒を飲むと太る」といわれる理由です。
太らないためには、アルコール度数が低いお酒を選ぶことがポイントです。シロップやジュースなど甘いもので割ったお酒なども避けましょう。「焼酎などの蒸留酒は太らない」といわれますが、糖質の点において太る要素はないものの、蒸留酒はアルコール度数が高いため中性脂肪の点では要注意です。一概に太らないとはいえないでしょう。
なお、飲む量によっても太るリスクは変わります。例えば、ビールとウイスキーでは1回に飲む量が違います。たくさんの量を飲めば糖質も多くなり、カラダが処理するアルコールの量も増えます。1日あたりの適量を目安に飲みすぎないこと、カラダが分解できるペースでゆっくり飲むことが大切です。
下の表の適量の目安は男性を基準にしたものです。女性はこの1/2量を目安にしてください。
ポイント2:おつまみの食べ方
「お酒を飲む前に牛乳を飲むといい」と聞いたことはありませんか?「胃に膜ができて酔いづらい、太りづらい」などといわれますが、膜ができるわけではなく、乳製品に含まれる「脂肪分」がアルコールの吸収をおだやかにします。同じ理由から、前菜にチーズやナッツ、少量の生ハムなどを選ぶのは正解です。
おつまみでは、低カロリーだからと生野菜スティックを選ぶよりも、アルコール代謝に必要なビタミンB1が豊富なぬか漬けを選ぶとよいでしょう。枝豆や豆腐、鯛のお刺身やカルパッチョなどもビタミンB群が多いです。これらがおつまみや前菜の定番であることは理にかなっています。
また、太りたくないからと肉や魚を避けるのは間違いです。たんぱく源となる食材にはビタミン、ミネラル、亜鉛などアルコール代謝に必要な栄養素がバランスよく入っています。揚げ物や濃い味付けを避けた調理法を選べば消化の負担にもならず、お酒の量も無駄に増えません。
ポイント3:飲みすぎたら3日前後で調整を
もし飲みすぎていると感じたら、早めに食事を切り上げるのも太らないコツです。〆のごはんや麺類などの糖質は、太りやすい時間帯とされる22時までに食べ終えることを目指してください。そして、翌朝起床したら太陽の光を浴びて、きちんと体内時計をリセットしましょう。代謝リズムを崩さないことも太らない秘訣です。
もしも翌日にカラダが重く感じたとしても、それはほぼ水太りなのであまり気にしなくて大丈夫です。飲み過ぎや食べ過ぎを解消したい時には、3日くらいの間に食べる量と動く量をコントロールしてカラダを整えてみてください。
外出を控える新しい生活スタイルでは、日々の消費カロリーは確実に減っています。これまでと同じようにお酒を楽しみたいのであれば、飲み方や食べ方に気をつける、運動量を増やす、サプリメントを取り入れる、などの工夫が必要です。もっとも簡単ですぐにできる工夫は、お酒を飲む時に必ずお水を一緒に飲むことです。ちなみに、炭酸水はアルコールの吸収を高めてしまうのでチェイサーとしては向いていません。水がおすすめです。
それぞれの適量や体質に合わせて、楽しく飲みましょう
「昔お酒が弱かったのに飲んでいるうちに強くなった」という人はいませんか?アルコールの分解には酵素が使われますが、体質的にお酒が弱い人はもともと分解酵素が少なく、お酒を飲むたびに別の酵素が分解を担っていると考えられます。カラダに無理をさせないよう、くれぐれも飲み過ぎには注意してください。
お酒の強い・弱い、合う・合わないには個人差があり、年齢によっても変わります。年を重ねれば代謝が落ち、太りやすさも変わります。少量のお酒は健康維持や体調改善に役立ちますし、家族や友人、仲間たちと楽しくお酒を囲む時間は、心身ともにプラスに作用します。今の適量や体質を心得て、自分にあった太らないお酒の楽しみ方を見つけましょう。
大島菊枝さん
管理栄養士。東京農業大学を卒業後、研究職を経て独立。料理雑誌などでも活躍。著書に『朝ごはんはすごい 一生太らない食べ方習慣』。
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